マキアヴェッリ語録・読んだ本シリーズ6

 

相変わらずの雑食なので、また毛色の違う本を。

今週はあの『君主論』で有名な『マキャヴェリ』です。

 

 

マキアヴェッリ語録
塩野七生・著(新潮文庫)

 

 

今の時代ではあまり人気がないかもしれませんが、

理想論ではなく現実ベースの話は

私は好きですね。勉強になりました。

 

 

賢明な人物を数人選んで、その人だけに
自分に真実を告げる役割を与える。

 

上に立つとどうしても

「こびへつらう者」が出てきて、

その気持ちよさに感染して堕落してしまう。

 

そうならないためには、

「私に真実を告げても私は気分を害しない」

という保証を示さなくてはならないが、

誰もがなんでも言えるようでは敬意を失う。

 

そこで、

賢明な者を数人選んで、彼らにだけ

自分に向かって真実を告げる役割を与える。

 

ただし、いつでも好きに意見できるわけではなく

こちらから問う。

すべて問うた後に、自分の判断で決定をくだす。

 

 

自らの権威を傷つける妥協は
絶対にすべきではない。

 

譲歩策をとっても、結局は衝突を回避できない。

そのうえ、こちらへの敬意を失ったことで

相手はより増長する。

しかも、味方を失望させる。

 

賢明で思慮に富む人物は、
他者を脅迫したり侮辱したりしない。

 

どちらの行為も、相手に害を与えるのに

何の役にも立たない。

そのうえ、相手の用心やこれまで以上の敵意を

かき立てるだけだから。

 

 

彼が生きた時代と現代は、

まったく違う世の中と思われるかもしれませんが、

私は、今の時代で生きていくにも多くのヒント

に出会える本だと思います。

 

自由競争の原理と少子化の話の中で

「古代と現代」の比較をしているのですが、

そこで言っている「現代」とは、

十六世紀のことなのです。

それなのに、「現代」が

まるで「今・まさに2022年」のことのように

読めてしまいました。

 

 

「君主論」を読んで理解するのも、

塩野七生さんの著書を読むのも

どちらも大変ですが、こちらは『語録』なので

隙間時間で読め、軽いのでオススメです。