傾聴力のコツ・読んだ本シリーズ50

 

毎週月曜は【読んだ本の紹介】シリーズです。

 

今週の本はコチラ。

傾聴のコツ
―話を「否定せず、遮らず、拒まず」
金田 諦應 ・著

 

 

著者は東北の曹洞宗のお寺のお坊さんです。

東日本大震災後、「カフェ・デ・モンク(Cafe de Monk)」という移動式の傾聴喫茶を立ち上げて運営してきた方。

 

この本で、「話を聞く必要がある職種」として

弁護士、会計士、税理士、教師、介護士、役所の職員・・・

と挙げられているところにひかれました。

 

私は、話を聞くことで

「リスクの発見」「本当に望むゴールの設定」「優先順位の設定」

ができると思っています。
話を聞かずしてできるレベルのことは「作業の外注」であって、そこにいるのは「専門家」ではないと。

 

でも、正直、「士業」と呼ばれる人は世間では

「話を聞いてくれない」(相談者目線)

「話を聞かなくて良い」(士業側目線)

と、されがちなイメージをもっていました(そして実際にそういったことはよくある(笑))。

そんな中、士業を(弁護士はまだしも会計士や税理士までも)「話を聞く必要がある職種」と位置付けているのはとても興味深いですね。

 

本

 

さて、話がそれましたが、本の中身に移りましょう。

 

 

共感が大切。

 

そんなことは誰もがわかっていることで様々な本に書いてることですが、この本ではそれを実行できるような具体的な学びがありました。

 

例えば・・・

 

 

「わかるよ」ではなく、「伝わったよ」と言う。

 

相手の話に対して、共感のつもりで「わかるよ」と言ってしまうことは多いのではないでしょうか。

「わかるよ」では無理やり自分のフレームに収めてしまっていることになるので、あくまで「伝わったよ」と言うのが良いとのことです。

確かに自分が話している側であれば、「私はあなたとは違うのよ」「そんな簡単にわかった口聞かないでよ」と思いますもんね。

 

 

「自己否定」する。

 

「相手を全肯定する」というのはともかく、ここで面白かったのは、そのために「自己否定」をするということ。

 

人は、自分がこれまで積み重ねてきた知識や経験で自分のフレームをつくってしまうので、相手を全肯定するためには、自分を否定する必要があるというのです。

 

他にも、

相手を導く気持ちは捨てる。相手を変えようとしない。

など。

相手に「教えてあげよう」「導いてあげよう」などという上から目線は、自分の考えが正しいと思っているとき、自分の方が相手より上だと思っているときに出る態度ですよね。

それは「傾聴」ではないです。

自分がこれまで積み重ねてきた価値観や思い込み、筋書きを捨てることを、仏教用語で「放下着(ほうげじゃく)」と言うそうです。

相手に対して「こうあってほしい」という気持ちは一切捨てて、相手を一人の人間として尊重することが大切です。

 

 

筆者は、この本の中で、素直に自分が東日本大震災の後の「傾聴喫茶」の活動を続けている中で「うつ」の症状を発症していたこと、活動をお休みしたことを綴っていました。

そんな筆者だからこそかもしれませんが

「ここまでは関われる」「ここからは関われない」の線引きは明確に

という言葉も書かれていました。

確かに、よく自分にとって重くなりすぎてしまって、結局「聴けない」どころか「聞きたくない」になってしまうこともあるので、自分の心身の健康と線引きはお互いにとって大切ですね。

もちろん「適切な相手・機関につなぐこと」も重要ですしね。

 

 

何度でも折にふれ、読み返して自分を振り返りたい本でした。

 

 

経営者、経営者さんと関わる者として
真面目なビジネス系、組織論系、経営論系
・・・に留まらず、小説、学術系まで。
『雑食読書』の鈴木が毎週1冊本をご紹介いたします。

 

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