霊きゅう車の許可には条件緩和があります。
霊きゅう車を走らせるにもトラックと同じ「一般貨物自動車運送事業」の許可が必要です。
ただし、そもそもこの「一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」の制度は大きなトラックで荷物を配送しているような会社を想定しているので、ご葬儀業界には合わないことも多く、同じ緑ナンバーの許可の中でも多少の緩和があります。

条件緩和事項

緩和①『車両が5台なくても始められる』
通常の「一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」では、車両が5台以上なくては許可がとれません。
しかし、霊きゅう車の場合は、1台から許可申請が可能です。

緩和②『運行管理者、整備管理者の資格がなくてもいい』
霊きゅう車の場合でも、運行管理者、整備管理者をおかなくてはならない点は通常の「一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」と同じです。

補足

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本来、「運行管理者証の交付を受けている方」(「基礎講習を受ける⇒運行管理者試験に合格する⇒運行管理者証の交付を受ける」が通常パターン)しか運行管理者になることができません。
しかし、霊きゅう車の場合は、「実際に運行管理を行う人」(要するに点呼ができて常勤で社会保険をかけている方)を選べばOKです。

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整備管理者についても同様で、本来、整備管理者は「整備士免許を持っている人」もしくは「実務経験2年+整備管理者選任前研修を受けた人」でなくては、整備管理者になることができません。
しかし、霊きゅう車の場合は、「実際に整備管理に責任をもつ人」(各ドライバーが行う点検をチェックすることができて常勤で社会保険をかけている方)を選べばOKです。
※ただし、これは5台未満の場合で、霊きゅう車であっても営業所に5台以上の車両をおくのであれば、運行管理者、整備管理者の条件は通常ルールとなります。

その他の条件

その他、営業所、車庫、資金、法令試験の合格などの条件は、基本的に通常の「一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」と同じです。
営業所や車庫については、(ご葬儀会場や霊きゅう車の出入りを想定する中で)不動産屋さんとの話の中では問題が発覚しなくても、運送業の許可をとるとなると問題がある可能性もありますので注意が必要です。運送業の知識がまったくないとしても、法令試験には合格しなくてはなりません。
トラック業界の方に比べると触れたことのない用語が多く大変な部分もあるかとは思いますが、弊所では法令試験対策も行っていますので、ご活用ください。

霊きゅう車を運行している会社さんに知っておいていただきたいこと

1、名義貸しは禁止。実際に運行する会社で許可を。

近年では、「過去、自社では許可が取れないと言われ、他社に霊きゅう車の許可をとってもらっていた」という会社さんからのご相談が増えています。
運送業の「名義貸し」は違法です!
過去の「自社では許可が取れない」の思い込みは一旦捨ててご相談ください。

2、合併や事業譲渡にも注意が必要

ご葬儀業者さんの合併の際、「合併認可申請」など、運送業許可上の手続きを終えてからでなくては、法務局で合併の登記ができないなどの問題が出てくることがあります。
運送業の合併認可申請は何か月もかかる手続きであるのに、(会社さんとしてはお金を払って信頼して「専門家」に任せたはずなのに)M&Aの専門家がそれを知らずに合併の準備を進めてしまって大問題になったこともあります。
ご葬儀業界であっても、運送業許可を見落とすことなく、早めのご相談をお願いします。