どこなら営業所にできるの?

場所の条件①〈都市計画法〉

細かい規定や市区町村による判断などもあるため一概には言い切れませんが、『ザックリ』お話すると・・・
市が「ここは住宅街にしよう」「ここは建物を建てない地区にしよう」などと指定しているところには、基本的には運送業の営業所を設置できません。
新たに建物を建てるわけではなく、もともと建っている建物を利用するだけなら良いと誤解している方も多いですが、それもNGです。

(不動産屋さんも勘違いして「運送業の営業所にする」と伝えてあっても、使えない物件を紹介されてしまうことがあるので注意してください)
逆に、お店や工場がたくさんあるような地域なら、運送業の営業所ができても問題にならないことがほとんどです。
※本当に『ザックリ』の話です。この部分は1件1件慎重に調査が必要な部分です。

場所の条件②〈農地法〉

「農地は農地として使いましょう。農地を農地以外にするときは手続きが必要です」と規定されているので、農地を運送業の営業所にすることはできません。
市の農業委員会や県で、「農地転用」の手続きを得たうえで、運送業の許可申請を行うことになります。
見た目がまったく農地ではないのに、法務局で謄本をとったら地目が「田」や「畑」だった・・・という場合であっても、農地法上の手続きが必要となります。

宅地課税をされていて、所有者さん自身もそこが農地であることを把握していない場合があるので注意が必要です。
以前は、ここの部分は、運輸局でスルーされてきた(①の都市計画法のチェックだけして、②の農地法のチェックをしていなかった)ように感じたこともありましたが、最近ではここもしっかりチェックされるようになって、農地法上の手続きの証拠を見せなくては審査が通らなくなりました。
弊所は農地転用の許可申請も開業依頼数多く手がけておりますので、必要でしたらお声がけください。(別途費用がかかります)

賃貸の場合の注意
自己所有ではなく賃貸でも、もちろんOKです。
ただし、「運送業の営業所として使用すること」を明記した賃貸借契約書が必要です。
仲の良い社長さんから口約束だけで物件を使わせてもらうことになっている場合や、賃貸借契約書はあるものの「運送業のため」と記載されていない場合(これが多いです)は、弊所で賃貸借契約書や同意書を作成することもできます。(追加料金なしで)

その他
スーパーハウス(ユニットハウス)を営業所にすることも可能です。
物件の登記がないので、「自社の所有物であることを証明する」、杭打ちがされていない物件は、「営業所を動かさないことを約束する」などが必要になります。

休憩睡眠施設
営業所(もしくは車庫)に併設してドライバーさんたちの休憩施設を用意しなくてはいけません。
「ゆっくり休憩ができる場所」である必要があるので、他の人がバタバタと通るようなところではなく、営業所(事務スペース)とは別部屋もしくはパーテーションで区切られている必要があります。
休憩施設を通らなくては営業所(事務スペース)に行けないようなつくりはNGです。
睡眠が必要な運行形態であれば、睡眠もできるようなスペースにしておく必要があります。
1人が寝るのには2.5㎡が必要とされています。
睡眠が必要な運行形態でなければ、睡眠スペースはいりませんが、ソファやイスなど、実際に休憩できるようなスペースにしておく必要があります。
都市計画法や農地法などといった「場所」の条件は営業所と同じです。

どこなら車庫にできるの?

場所の条件①〈営業所からの距離〉
車庫は営業所から『直線距離10km以内』という条件があります。
『実践距離(実際の道で測った距離)』ではなくて、『直線距離』です。※距離の条件は運輸局によって異なります。ここでは「中部運輸局(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県、福井県)の場合のルールをご案内しています。

場所の条件②前面道路の幅員
「細い道からしか入れない土地なのに大型トラックの駐車場になっている」などということがないように、駐車場の前面道路を、「車両制限令」という法律に照らし合わせて、使用する車両に見合っていることを証明します。

面積の条件
面積は一概に「〇〇㎡以上」というルールがあるわけではありません。
使用する車両によって計算し、十分に収容能力があることを証明します。

具体的には、
・土地の90%が利用できるとして、普通車なら1台あたり38㎡などと決まった数字で面積の計算をする。
・車両の前後左右に50cm以上の間隔がとれることを図面で示す。
といったことを行います。
車両分の面積がとれない場合は、車庫を2か所以上にしてもOKです。
ただし、どの車庫も「営業所からの直線距離10km以内」の条件を守らなくてはいけません。

その他注意すること
営業所と同様、地目が農地になっていると農地法上の手続きを済ませなくては車庫として使用できません。
賃貸の場合に、賃貸借契約書に「運送業のため」の記載が必要な点も営業所と同じです。
車庫は舗装されていなくても1台ごとに白線が引かれていなくてもOKです。
ただし、実際に道から乗り入れができる状態にしておく必要があります。(側溝をまたいで道から乗り入れる場合は側溝に蓋をするなど)