私は青年会議所という組織に所属しています。
日本青年会議所という組織で内部監査の役をしていたことがあり、様々な組織を見る経験をしました。
監査という立場上の見方はもちろんですが、メンバーが頑張れる組織と頑張れない組織があるのを興味深く見ていました。
それぞれの組織で上司はどんな態度なのかも。
その翌年には、地元の青年会議所の理事長として組織を率いる経験をしました。
この本を出しているアチーブメント株式会社は日本青年会議所の賛助企業であり、青年会議所メンバー向けの講演会を数多く開催しています。
そのアチーブメント株式会社の青木社長が、「未来を拓くリーダーシップのあり方を示したい」と、日本青年会議所の会頭を経験した5人(2018年~2022年会頭)の話をまとめ、自身のメッセージと共に本にしました。
次世代リーダーに求められる
人を動かす力
青木仁志・著
私自身も青年会議所という組織で部下をもつ経験をしてきました。
会社と異なりお金(給与)も立場も与えることができず、それどころか自分のお金と時間と体力を使って行うのが青年会議所です。
だからこそ、「人を動かす」勉強になるのです。
この「人を動かす」というのは、大きな会社の社長をやっているから、何代も続く企業の後継者だからといって、上手にできるものではありません。
(なにせお金と立場で頑張る動機付けができないのですから)
私は、「いかに本人にやりたい・できると思わせるか」、「安心して頑張れる環境を与えられるか」、そして「『もういいや』と思ったときに『あとちょっと頑張ろう』と思ってもらえるか」の3点だと思ってやってきました。
この本では、手弁当の奉仕である青年会議所の活動は
「個人が当事者意識をもって行うから意義をもつ」
と述べています。
5人のリーダーのうち、特に感銘を受けたのは2020年会頭の石田さん。
震災後の避難生活下で福島県は浪江青年会議所の理事長になり、日本青年会議所の会頭時代にはコロナウイルスまん延が発生という経験の持ち主です。
・・・
被災した中でメンバーとの対話を大事にした石田さん。
「青年会議所どころではない」「やめなくては」「やめたい」という声がメンバーから聞こえるのは当然でしょう。
それに対し、「落ち着くまで活動はしなくていい。やめる必要はないし、今焦って答えを出さなくていい。」「困ったことがあれば話してほしい」「全国に広がる青年会議所のネットワークを経つ必要はないと思う」とメンバーに語りかけていたそうです。
困難な状況にいるときにはすぐ「やめる」という判断をしがちですが、そんなときになんと優しい声がけでしょうか。
「今決める必要はない」と判断を保留にし、「話してほしい」と相手のよりどころを用意したうえで、青年会議所のネットワークという実益まで提示しています(とはいっても、ちゃんと青年会議所をやってきた人なら自分のための簡単な意味での「実益」としては使いません)。
きっと石田さんはその言葉を発するにふさわしい人間であろうとし続けたのと思います。
困ったことを聞き、ネットワークを活かし、解決を目指す。
正直、青年会議所に所属しているだけで青年会議所のネットワークを活かせるわけではありません。
人に動いてもらえる人だから活かせるのです。
ネットワークを活かせる人間であるというのは、普段の生活でどう人と関わっているかにつきます。
石田さんが発したからこそ、メンバーの心に響いたのでしょう。
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「率先垂範」とはよく聞く言葉で、簡単に使う人もたくさんいますが、本当にそれができていて、それが成果につながっているのが石田さん。
被災した中で仮設住宅まわりを提案した際に、メンバーは正直乗り気ではなかったようですが、石田さんがひとりでも仮設住宅まわりをしているうちに「私も行きます」「私が運転していきます」と言ってくれるメンバーが表れて、気づけば皆で手分けして仮設住宅まわりをするようになっていたそうです。
石田さんの姿や本気に心を打たれただけでなく、実際に石田さんがやっている姿を見ることでメンバーが安心して取り組めるようになったという効果もあるのではないでしょうか。
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避難指示が解除されても震災前の10分の1以下の人口という浪江町。
その浪江町のことを本気で「世界に貢献できるまち」にすると考えている石田さん。
浪江町のことを「可能性がある」とワクワクした語り口で綴っています。
他との「違い」は「価値」であると。
そんな石田さんからのメッセージは
「できない理由を語るよりも、できることを考えてほしい」
「現状に対して不満があるなら、何か行動を起こしてほしい」
でした。
私が地元青年会議所の理事長を務めたのは2022年。
そのときの日本青年会議所の会頭は中島土さん。
この本で最後に登場する直近の会頭経験者です。
やはり、フィールドが違えど、同じ時期に同じ文化の組織を率いる中で感じること考えることは似通ってくるもの。
コロナの間に変わったもの、途切れそうになっているもの、「正しくない」「やめてしまえばいいのに」と思われているもの・・・
たくさんありますが、「文化」という切り口で語る中島さんの言葉には本当に共感することが多く、あのタイミングを任された人間だからこその話だと思いました。
この土さん(私含め私の周りの同期理事長たちは中島さんのことを、親しみを込めて下のお名前で呼んでいます)の話は、これからの青年会議所をつないでいくメンバーに是非読んでいただきたい。
(10年前に入ったこの組織、私も年齢制限のため今年で去らねばなりません)
・・・ということで、何かのときの景品にしようと思います。
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