毎週月曜は『読んだ本シリーズ』です。
今週は社会に切り込んだ本。
というか、おそらく社会に対するモヤモヤを晴らしてくれそうと一目ぼれした本です。
平等バカ
池田清彦 (著)
・負担の平等にこだわると、その政策を検証できない。
コロナでの全国一斉休校措置。
なぜか負担を「平等」にする。
しかし一斉に根拠はなかった(そもそも子ども相手の休校に根拠があったかも謎だが)。
コロナで目立った場当たり的な政策。
場当たり的な判断のせいでかえって(それをやめる根拠もなく)混乱をきたす。
さらには一斉であるからその政策について検証できない。
・平等主義は無責任で不公平
誰かが言ったとおりにすれば自分の責任にならない。
例えば国が「全国一斉休校措置」といっても県知事の判断で開校に踏み切ることもできた(そういった例もあった)。
しかし、別のことを選択するには責任が付きまとう。
国が言ったとおり、みんなと同じようにすれば何かあっても自分の責任ではない。
平等主義は、無責任主義。
震災時に避難所に毛布が届いても「人数分に満たないから」と
1枚も毛布を配らないといった例が散見された。
食べ物があっても、同じように食べ物を配ることにこだわる。
(例えば昨日から何も食べていない子がいても他の子と同じ量で配りたい)
全体の利益からするとはなはだ疑問を覚える状況であってもこういったことが起こる。
病気でケアが必要な人であっても健康な人と同じ配給をする、
お腹をすかせた子と満腹の子でも同じ配給をするというのは、
「平等」な扱いかもしれないが、結果としては「公平ではない」。
・恣意的な運用が発生する審査がない、シンプルな運用方法の政策を
例えば交付金、補助金、助成金といったたぐいのもの。
シンプルで審査がないものなら恣意的な運用がない。
しかし、条件を付けると条件を満たしていることを証明しなくてはならない。
それを審査する必要がある。
すると恣意的な運用の可能性が出てくる。
審査があることによって、本当に助けを必要としている人にいきわたらない事態が発生する。
条件なしの一律交付は受け入れられやすい。
またスピードも速い。
コロナで世の中のおかしさ(これまでもおかしかったけれど、なんとなく注目せずに済んでいたこと)が
露呈したと感じています。
今の世の中に対するモヤモヤをしっかり言語化してくれた本でした。
また、このブログでは取り上げませんでしたが、
著者の主張するベーシックインカムは昔からある理論ではありますが、
そこにAIと人口減少を付け加えて論じられたことで、
現代のひとつの策として考えることができました。
経営者さんと関わる者として
真面目なビジネス系、組織論系、経営論系・・・に留まらず、小説、学術系まで。
『雑食読書』の鈴木が毎週1冊本をご紹介いたします。