とんでもなくわかりやすい経済の話・読んだ本シリーズ130

週末は、娘と姉と静岡に旅行に行ってきました。

ヤマハイノベーションロードの解説付きツアーでヤマハの130年のあゆみと最新技術を学び、

高級ピアノで姉とヘタクソな連弾。

浜松楽器博物館で心行くまでアジアの民族楽器をしげしげ見て、

体験コーナーでは3人でヘタクソすぎるハンドベルの合奏。

富士サファリパークは、道中の運転も疲れましたが、レインコートと傘では足らない激しい雷雨で

本当に体力を消耗する大変な観光でした。

(でも、動物はかわいかった。うさぎ触れ合いコーナーにも間に合ってよかった)

もともと運転が好きではない私。

帰宅することには、相当なお疲れでしたが、今日もガッツリ集中してしっかり仕事するぞ!

さて、相も変わらず月曜は【読んだ本シリーズ】です。

帰省した姉が持ち帰っており、実家のリビングに置いてあったので借りて読みました。

経済は私たちの生活に大きく影響を与えるのに、

経済を専門家任せにしてはいけないとして、

父が娘に語る形をとっています。

著者曰く、

『誰もが経済についてしっかりと意見を言えることがいい社会の必須条件』

父が娘に語る

美しく、深く、壮大で、

とんでもなくわかりやすい経済の話。

ヤニス・バルファキス・著

1,交換価値と経験価値

価値には「交換価値」と「経験価値」がある。

経験価値は、それを行うことで得られるお金以外もの。

例えば、献血など。

誰かのためにやろうと思っていた行為に対して「お金を払う」と言われたら

それは人助けではなく商売になってしまい、急にやりたくなくなる。

交換価値にしか価値を見出せない人間に世の中を任せてはならない。

現代社会では、価値ある芸術品をオークションにかけて一番高い金額で買うことができる者がその所有者になれる。

古代ギリシアでは、価値ある武器をもつにふさわしい人間であると認められることが重要であり、オークションはしなかった。

重要なのは交換価値ではなかった。

2,狩人のジレンマ

A,1人でも簡単に仕留められるウサギ(ただしその日の食事にしかならない)

B,複数人で時間をかけてようやく仕留められる鹿(数日間の食事になる)

の2つの獲物がある。

ここで

・狩人たちはそれぞれウサギを追いかけるよりもみんなで協力して鹿を仕留めた方がいいと思っている。

・狩人たちは、ほかの仲間がみんな鹿狩りに集中していると確信できれば、鹿狩りに集中できる。

・全員が心をひとつにして鹿を仕留められると信じられたら、心をひとつにして鹿を仕留められる。しかし、信じられなかったら仕留められない。

集団の楽観と悲観によって社会がかわってしまう。

鹿がいいと思っていても、結局ウサギを追うことになってしまう。

3,収容所でのタバコ

収容所に届く物資の中で、自分にとって価値がないものを自分のほしいものと交換する取引が行われていた。

その中で、取引が煩雑化しないようタバコが通貨の役目を担うようになった。

タバコは、日持ちし、持ち運びやすく、小分けしやすい。そして魅力が共有されている。

貸し借り(利子がつく)もできた。

著者が自分の父に実際にタバコが通貨の役割を担っていたか聞いたところ

「私たちは受け取ったものをなんでも分け合っていた。助け合って生きていた」

との返ってきたとのこと。

現実はこうかもしれませんね。

とはいえ、このタバコの話は、この先通貨の変わりとなるもの、

実態がないのに価値があるとされるものを理解するのに役立つ考え方です。

著者は、娘さんに「他人」、「異邦人」といった意味の名前をつけようと思ったそう。

国家や社会はよそ者の目で見る方が本当の姿がよくわかると考えているから。

彼は、

『大人になって社会に出ても精神を解放し続けるには、自立した考えをもつことが必要』

と娘に語っており、私自身が娘に教えたい(身に着けてほしい)こととも一致して、最後は感動で終わりました。

経営者さんと関わる者として

真面目なビジネス系、組織論系、経営論系・・・に留まらず、小説、学術系まで。

『雑食読書』の鈴木が毎週1冊本をご紹介いたします。

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