月曜は『読んだ本シリーズ』です。
今週の本はこちら。
なんとなくタイトルにひかれて読むことにした本です。
映画を早送りで観る人たち
~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~
稲田 豊史 (著)
・自分の上位互換がすぐに見つかる現代
倍速視聴派に対して
「飛ばした中に後の伏線になるような重要なシーンが含まれていたら困るのでは」
と尋ねると
「どうせ自分には気づけない。そういうのはプロに任せればいい」
との返答。
どうせ自分にはシーンに込められた深い意図や、セリフに込められた暗喩は理解できない。汲み取れない。
というのが倍速視聴派の意見。
現代社会ではSNSで自分の「上位互換」の人をすぐに見つけられてしまう。
これがオタクに憧れる人、自分が好きなものを好きと言えない人につながる。
・現代の学生は昔の学生に比べて圧倒的に時間とカネがない。
首都圏の私立大学に進学した新入生の家計負担の状況調査から
「月額仕送りー家賃(=生活費)」は、
1990年 73,800円から
2020年 18,200円
親世代が大学生だったころから1/4程度に。
一人暮らしで学生生活を送りながら
必要最低限の生活を送るために、彼らは忙しい。
・多様性を尊重しているようでいて、実はただの無関心。
人の容姿や人種、セクシャリティの多様性に寛容であるべきという機運の中で
育った若者は、個人に関するセンシティブなことは「言わぬが花」。
「多様性を認め個性を尊重しあう」と言えば聞こえはいいが、
彼らの実情は、「批判もダメだしもしないし、されることもない」。
他人を尊重しているようでいて、他人に干渉しないだけ。
自分と異なる価値観に触れて理解に努めるという行動が欠けている。
だから自分と考えの違う他者との折り合いのつけ方がわからない。
自分に向けられる批判に耐性がない。
「不快だ」と遠慮なく悲鳴を上げる。
私は倍速視聴(映画ではなくオーディオブック)することもありますが、あくまで自分のため。
ここで言う「映画を早送りで観る人たち」というのは、周りの人や環境を理由に倍速で視聴する人たち。
時代背景や文化が異なるのだと知りました。
読んでいて、ちょっと寂しく感じてしまいました。
私たち大人が若者たちにどんな生きやすい社会をつくれるか
・・・なんて、
こちらが勝手にこんなことを考えるのを彼らは望んでいないかもしれませんし、
寂しく感じるのはこちらの感覚でしかないのでしょうね。
経営者さんと関わる者として
ビジネス系、組織論系、経営論系・・・に留まらず、小説、学術系まで。
『雑食読書』の鈴木が毎週1冊本をご紹介いたします。