相変わらず「雑食」読書派なので、こんな本も出てきます。
数分で読める短い本です。
「桃太郎の鬼側の視点は?」という話は昨今の世の中ではしばしば出てくるものですが、
芥川が書いているものがあったのですね。
桃太郎
芥川 竜之介 (著)
・桃太郎はお爺さんお婆さんのように生きたくなかった
桃太郎が鬼の征伐を思い立ったのは、お爺さんやお婆さんのように、
山や川や畑で働きたくなかったから。
日本人にとってなじみのある
「祖父母や親がやっていたことをやる」、「勤勉な仕事」
をしたくなかったのだ。
・持っている桃太郎は持たない動物たちを服従させた
きび団子について、動物が「ひとつください」を繰り返しても
桃太郎は「ひとつはやれぬ。半分やろう」と繰り返した。
結局、ほしいときには、持たない方が持っている方に服従するしかない。
こうして家来を得た。
・鬼を征伐するもっともな理由などなかった
鬼は働き、音楽や踊りを楽しんだりして、
平和を愛して暮らしていた。
人間と変わらないものだった(人間より享楽的にできあがった種族らしい)。
鬼が桃太郎一味にやられたとき、鬼の首長が桃太郎に
「自分たちが何桃太郎たちに無礼をしたから征伐されたと思うが、
思い当たることがないので、教えてほしい」と聞いたが、
桃太郎の返答はまったくひどい、なんの回答にもならない答えだった。
要するに、鬼に何か恨みがあったわけでも鬼によって何かしらの不利益を被っていたわけでもない。
最後には、桃太郎の征伐がなければ幸せに暮らしていたであろう鬼の現在の様子や、
桃太郎も幸せに暮らしてはいない様子が描かれており、
桃太郎がやったことの重大さ、
理不尽な暴力がそこに生きるものの様々なものを長い年月にわたって奪うという悲惨さが
大きな印象を残して物語が終わりました。
物事は別の側面から見ると、まったく別の見方になりますね。
ちなみに、大人になって子どもに桃太郎を読み聞かせたときに
「鬼退治の際に掛け声だけで実は何もしていない」ことに気づいて、
「桃太郎、なかなかの社長(ボス)だな」と思ったことがあります。
子どもに読み聞かせる方の「桃太郎」もそのときどきで違う気づきを与えてくれますよ。
経営者さんと関わる者として
ビジネス系、組織論系、経営論系・・・に留まらず、小説、学術系まで。
『雑食読書』の鈴木が毎週1冊本をご紹介いたします。