月曜なので読んだ本の紹介です。
気になっていた『丸いケーキを3人で分けてください』と言われたときに、ベンツのマークのように3等分で切ることができない少年達のお話。
アマゾンの書籍コーナーをふらふらしていたら「読み放題(会員登録済み)」に入っていたので、今週はこちらを。
ケーキの切れない非行少年たち
宮口幸治・著
広く使われている認知行動療法は、そもそも「認知機能に問題がないこと」を前提に考えられた手法です。
少年院に来ることになった事件のことを反省させるにも、根本自分が犯したことを正しく捉えられていない少年たちには、更生プログラムを施したところで効果がありません。
更生プログラムもそもそも「それ以前」の力をもっていなくては意味をなしません。
少年院の少年たちが、図がそのまま写せないこと、ケーキが3等分に切れないことから、『世の中のことが歪んで見えていたら』という疑問を抱いたところから、これまでのアプローチを疑うことが始まります。
認知機能の弱さ、感情統制の弱さ、融通の利かなさ、不適切な自己評価、対人スキルの乏しさ、プラス身体的不器用さ
これが少年院で見つけた非行少年に共通する特徴です。
少年院に来る少年たちの調書を見てみると、小学校2年生くらいからこの特徴は見え始めているそうです。
小学校では良い先生に恵まれてなんとかやっていることもあるようですが、中学校では非行に走るようになり、さらには学校から出ると全く支援の枠から外れてしまうのです。
子どものころから「ちょっと違う」を抱えて小中学校でイジメ被害に遭って、最終的には『加害者』になってしまう。
施設から出所しても、再犯でまた戻ってきてしまう・・・
本来ならば、守られるべき存在であった子が適切な支援を受けられないままに、この循環に陥っている現状を、著者は『教育の敗北』という言葉で表現していました。
最近流行りの「褒める」「聴いてあげる」という教育にも、「自尊感情を高める」という教育にも、著者は警鐘を鳴らしています。
その場を取り繕うにはいいですが、根本の解決にはならないからです。
正しい自己評価は必要ですが、自尊感情が高い必要はないからです。
この本は、著者の医療少年院での勤務の経験をもとに書かれています。
要するに「実態を謳っている」ということです。
少しショッキングな内容ではありました。
少年事件に関わらず人や行動を見ていくうえで、
「なぜ事件を起こしたか(なぜそのようなことをしたか)?」という理由の解明だけでなく、「どうしたら事件(その行動)を防げたか?」「同じようなリスクをもった子ども(大人)はいないか?」
という観点で語ることが重要なのだと気づかされました。
そしてなによりもまず子ども達には、「見る力」「聞く力」「想像する力」をつけさせる必要があります。
「あとがき」で書かれていましたが、
刑務所の受刑者を1人養うのに年間300万円の公金がかかっており、1人の健全な納税者が年間100万円何らかの形で公金を納めているとすれば・・・
適切な支援の必要性は、「その人本人のため」だけでもなく、「(未来の)被害者やその家族のため」だけでもなく、社会全体の利益にもなりますね。
経営者、経営者さんと関わる者として
真面目なビジネス系、組織論系、経営論系
・・・に留まらず、小説、学術系まで。
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