毎週月曜は「読んだ本シリーズ」です。
先日、初めて養老孟司さんの著書を読み(世間とズレちゃうのはしょうがない・読んだ本シリーズ76)
、養老さんがいっていることが面白くて、ついついもう1冊読んでしまいました。
やっぱり、この人、面白い。
超老人の壁
養老 孟司 、 南 伸坊 ・著
「老人」という切り口の話ではなく(それもありますが)、人生経験豊かな彼らだからこその達観した(?)世の中の見方が詰まっている、対談形式の本です。
1,唯一客観的な現実は存在するか?仏教とキリスト教では前提が違う。
「ワシントンでは100人いれば101の現実がある」という話になるということです。
「100人いて100の現実」はともかく、「あと1つ」は?となりますよね。
キリスト教では神様がいるという前提があるので、この考えが成り立つそうです。
私には、その感覚がまったくなかったので新鮮で面白く読みました。
一方、仏教では、「唯一客観的な現実なんて、あってもなくてもいい」という立場をとると。
2,同じことをやるにしても一人ひとり使うチャンネルが違う。自分が納得するところで、他人が納得するとは限らない。
本の中では座標の話や、「100まで数える」という話からこの話に至っているのですが、
「脳みそのどこを使うか」や「体・感覚のどこを使うか」は人によって様々。
そんな中で、食い違いが出るのは当たり前。
「それぞれの筋で納得するようにしましょう」という発言に心底納得しました。
3,今の世の中は、変なのをコントロールするべきなのに、変なのを基準にして普通の人を管理する。
これは、よくありますよね。ほとんどが皆さんの良識で大きな問題がなくできていたものを、変な人(変な事件)があると、それを基準にルールができてしまって、窮屈になるどころか、それまでのメリットがなくなってしまうこと。
ちなみに、この本でこの話題は、ブータンの道路事情から始まっているのですが・・・
ブータンでは犬が道端でゴロゴロしているそうです。
あるとき、犬が寝ている交差点に官僚が信号をつけたら、国王が気づいて怒って、「車は人間の良識で運転するものである」と言ったそうです。
どこまで本当かは知りませんが、こういうの、いいですよね。
4,なんでも一般化できると思っている。「これが正しい」と決めてもらいたい人たち。
例えば、人の生活に関わること。
具体的な問題なのに、一般化できると思っている人が多い。
と指摘しています。
自分で判断したくなくて、一般化したい。
「『これが正しい』と決めてもらえば、それに従っていればいいから楽」と思ってしまう人が多い現実は、世の中全体として「自分の頭で考える力」が落ちているのではと危機感を覚えます。
ちなみに、この話は介護に関する話題から出ていたのですが、養老さんのご家族がもう、めちゃくちゃ面白いので、是非、読んでいただきたいです(笑)
5,議論する問題ではなく、実行する問題
「その場で」「いろんなことが全部統合された結果で」判断があるのに、なぜか、原則論を持ち出す人がいる。
まったく同じことは二度とは起こらない。
過去の東大小児科の話、災害時の人命救助の話、ポルトガルのレジスタンスでの医者の話から、このようなことを
「議論する問題じゃなくて、実行する問題」
としていて、なんとなくモヤモヤするだけだったことに適切な日本語をつけてもらった気がしてスッキリしました。
そうです。「いろんなこと全部をひっくるめて判断がある」んですよね。
相変わらず、痛快な養老節。
今回もとっても面白かったので、また今後も養老さんの本がこのブログで出てくるかもしれません。
激動の時代を生き抜いてきた、突き抜けた人、年齢・・・いろいろあっての養老さんなので、同じにはなりませんが、養老さんくらいの物の見方を少しはもてるようになると楽だなと思います。
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